迷う、見失う。それでも何かを見つけたい。

東京から逃げるように地元に帰ったメンタル弱めの迷えるとりひつじ

ずっと続く夏休み

大学生の頃、京都で一人暮らしをしていた。

京都から福井の実家まではバイクで2時間半の距離で、長期間の休みがあればよく帰った。

帰ったからといって、特に何をするでもない。

地元の友達と会うのか、そうでなければ家にこもってネトゲをするのか、空いた時間をなにかに掛けられるほど熱中できものはないため、手持ち無沙汰の退屈で鬱屈とした気分になる。

そうなると、どこか遠くへ行きたくなる。

ここではない、どこか別の場所へ行きたくなる。

古い家でどこにいても人の声が筒抜けで、親や姉や祖母の声が自室まで響いてくるのは不快だった。

時間が出来てやることもなければ“仕方なく”という心持ちで家を飛び出した。

碌な準備もせずに考えもなしに体力が続く限りバイクで走り続けた。

夏はまだ良いが冬ともなればただの苦行でしかなかった。

目的もなく飛び出すこともあったため、途中でダメだと思い直して引き返すこともあった。

退屈や不満が溜まればどこか遠くへ逃げ出したくなる。

今は土日を除く毎日朝から晩まで働き続け、時間が十分にないため、それに気力も体力も若さなりの無謀さも消極して動こうとしない。

気持ちとしては、今も夏休みが続いているように感じる。

退屈して家にいるのも嫌で鬱屈としている。

どこかここではない遠くへ行きたい。