迷う、見失う。それでも何かを見つけたい。

東京から逃げるように地元に帰ったメンタル弱めの迷えるとりひつじ

ラスト・マタギ

ラスト・サムライみたいなタイトルで気になって読んでみました。
本書は志田忠儀(しだただのり)さんの手記から構成されています。彼の経歴をまとめると、1916年山形に生まれ、小さい頃から山と共に育ち、若干15歳で熊を撃ち、生涯で50頭以上仕留めます。戦争に3度の招集を受け、死地から帰還し、以降は豊富な山の知識から朝日国立公園の管理人に抜擢され、朝日連峰の遭難救助隊として活躍。ブナ林を守る活動でも大きな功績を残されたようです。
山での暮らしは私も憧れるところです。昔は今よりも自然が豊かで、狩猟、釣り、キノコ採りと、山と川から多くの恵みを収穫出来たようです。
戦時中には1日に150kmの行軍をしたなど戦争の体験、山を駆け巡る姿は「風のおじつぁん」と呼ばれるほど超人的なフィジカルとメンタルを持っていて、昔の人はこんなにも逞しかったのかと驚きます。
土木工事の給金が1日50銭の時代に、テンという動物の毛皮が16円で売れて嬉しかったなど、昔の金銭感覚も面白かったです。
志田さんのように貴重な知恵を持つ人が亡くなっていくことがとても惜しいと思いました。
100歳で天命を全うされたようです。